思い出すマスオさん症候群
明日から会社だと思うと、休日の夜憂鬱になる人が多いですね、
一方「明日から会社に行ける」と元気になる人もいます。
マスオさん症候群です。
休日の夜元気になるAさん(50代男性)、彼のストレス解消法は
「歩くこと」と研修中に恥ずかしそうに答えてくれました。
その時の表情に少し違和感を感じたので、
「どれくらい歩かれるのですか?」
「毎日二駅です、行きも帰りも歩きます。」
「お~!」会場がドッとわきました。
Aさんの職場は地方都市で駅と駅の距離はかなりあります。
「行き帰り毎日二駅とはすごいですね、暑くなると大変ですね。」
「どんな天候でも歩きます。」
少し視線を下げたその表情をみて、
歩くのは健康のためではないのでは・・・
歩く理由は?
「Aさんはお休みの日も歩いているのですか?」
「休みの日は朝から晩まで歩いています。」
「朝から晩まで?」
「はい、お天気が良いと最高に気持ちが良いのですが、
雨だと行くところがなくて最悪です、
一日中家にいるのは苦痛です。」
Aさんは家にいたくないので歩いていたようですですね。
少しお話聞いていただけますか
研修が終わり片付けをしていると、Aさんがきて
「少しお話聴いていただけますか。」
毎日歩くのは体力つくりではなく、
家になるべくいたくないから、
家族に不満があるわけではないが
家に居場所がなくつらい
と小さな声で話し始めました。
休日の夜は「明日は職場に行ける」とホッとするそうです。
家にいたくない
「家にいたくないんで歩いているんです。
ときどき何のために働いているか、どうして家族と暮らしているか
分からなくなります、分からなくて苦しいです。」
「話していただきありがとうございます。
Aさんは家にいるのが苦しいのですね・・・」
「そうなんです、苦しいです。定年退職後、毎日家にいることを考えると
眠れなくなります。」
Aさんの職場は、産業医やカウンセラーが常駐しています、
睡眠時間や心理状態などを確認し、人事労務担当へつなぎました。
産業医面談をうけるように伝え、Aさんとはそれきり会っていませんが、
Aさん、どうしているかなと思い出すことがあります。
なぜ話してくれたの?
Aさんはなぜ私に話してくれたのでしょうか。
「研修で話を聴くうちに、自分は精神的に健康でないような気がしてきました。
もしからた自分はメンタルやられているのではないかとも感じました、
誰かに話を聴いてもらった方が良いような気がして・・・」
Aさんは体力的にも精神的にも疲れていたのではないでしょうか。
あれから6年コロナ禍でAさんはどうしているのでしょう。
マスオさん症候群
マスオさん症候群は、日曜日サザエさんが始まる時間になると
「明日は会社か」と憂鬱になるサザエさん症候群と反対で、
「あー休みが終わった、明日は会社に行ける、」と元気になる人達のことで
会社人間とも呼ばれ、家族に囲まれて幸せに暮らしている磯野家の
フグ田マスオさんとは違います。
Aさんはいつからか分かりませんが、家族との会話もなくなっていき、
家族に心を閉ざしてしまったのかもしれません、
家に自分の居場所がないと感じているのでしょう。
働き方の変化
週休1日制から週休二日制、終身雇用の崩壊、長時間労働の是正、
残業時間の徹底管理などに加え柔軟な働き方へと私たちの働き方は
大きく変化してきました。そしてウイズコロナでテレワーク導入、
ストレスや疲労緩和のための新たな働き方は、Aさんのような人たちには
つらいものになりました。
Aさんの気づき
「健康とは、病気でないとか。弱っていないということではなく、
肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」
(日本WHO協会訳)
大切なのは社会的に健康か、職場だけでなく家族や地域社会に豊な人間関係があり、
精神的に安定している状態であるかどうかなのですね。
Aさんはセルフケア研修で自分を冷静に見つめることで精神状態に気づき、
相談してくれました。ほんの少しの勇気があったことで会社の支援も
受けやすくなったのではないでしょうか。今も歩いているかな?
あなたは今、健康ですか?
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